業界勢力図 鉄鋼・非鉄金属
鉄鋼 〜 業界再編に区切り。生産設備の合理化と海外展開が進行
鉄鋼業界売上高ランキング&対前期比
1 新日鐵住金 4兆3,899億円 やや増加
2 JFEホールディングス 3兆1,891億円 横ばい
3 神戸製鋼所 1兆6,855億円 減少
4 日新製鋼HD 5,189億円 やや減少
5 日立金属 5,357億円 横ばい
(数字は2012年度の実績。有価証券報告書、決算資料に基づき作成)
主要企業の最新動向&トピックス
●1位 新日鐵住金
2012年10月、高炉メーカーの新日本製鐵と住友金属工業の合併により誕生。粗鋼生産世界2位。製鉄のほか、プラント・インフラ建設、科学、素材、システムソリューション事業も手がける。傘下にブラジルの鉄鋼大手ウジミナスを有し、韓国鉄鋼最大手のポスコ、神戸製鋼所とは提携関係にある。粗鋼生産世界トップのアルセロール・ミタルと北米で合弁事業を行っているほか、中国で同国鉄鋼大手の宝鋼集団と、インドで同国鉄鋼大手タタ・スチールと、それぞれ自動車用鋼板の合弁会社を運営している。2015年までに製鉄所の高炉1基の停止を予定。
●2位 JFEホールディングス
NKKと川崎製鉄の経営統合により2002年に誕生した高炉メーカー。傘下のJFEスチールは粗鋼生産国内2位。鉄鋼事業の高収益化とともに、低採算部門の再構築も推進。2012年にはJFEスチール傘下のグループ電炉4社を統合し、JFE条鋼として再スタートしたほか、商社や造船などグループ企業の再編を実施、鉄に関わる分野に経営資源を集中させている。韓国の現代ハイスコをはじめ、中国、米国、カナダ、ドイツなどの鉄鋼メーカーと提携関係にあり、輸出比率が高い。近年は中国の鉄鋼メーカー・広州鋼鉄と合弁で広州JFE鋼板を設立したほか、ベトナムのスパイラル鋼管製造会社を買収。提携関係にあるインドの鉄鋼大手JSWとの関係強化にも意欲的で、インド市場本格進出への足場を固めている。
●3位 神戸製鋼所
大手鉄鋼メーカーの中で鉄鋼事業の比率が4割程度と最も低く、非鉄、建設機械、産業機械、IPP(電力卸売)など複合経営が特徴。鉄鋼事業では高付加価値商材の開発に注力。2011年には日立金属などと共同で航空機部材の合弁事業を開始、2012年には豪州鉄鉱山プロジェクトの権益を持つ総合商社・双日の完全子会社に出資し、同鉱山の権益を取得している。特殊鋼棒鋼線材の欧州最大手・アスコメタルをはじめ、海外大手と積極的に提携を結び、北米では総合製鉄会社のUSスチールと合弁で自動車用鋼板事業を展開。傘下の建設機械メーカー・コベルコ建機は中国に続いてインドにも工場を建設し、2011年より生産を開始している。2013年に高炉1基の休止を決定。
●4位 日新製鋼ホールディングス
2012年10月、高炉メーカーの日新製鋼とステンレス専業の日本金属鉱業の合併により発足。粗鋼生産世界2位。製鉄のほか、プラント・インフラ建設、科学、素材、システムソリューション事業も手がける。表面処理鋼板やステンレス冷延といった高付加価値部門に強い。筆頭株主の新日本製鐵とは戦略的な棲み分けを行っている。海外での合弁会社設立や資本参加、技術協力によって海外事業を推進しており、近年はインドの自動車マーケットに向けた鋼管メーカー・ANSスチール チューブを設立。傘下のステンレス鋼板欧州大手アセリノックスとはマレーシアでステンレス冷延合弁事業を展開している。
●5位 日立金属
日立グループの鉄鋼メーカー。高級特殊鋼やレアアース(レアメタルの一部)を用いて作られるネオジム磁石など高シェア製品を多数展開。2013年に日立電線を吸収合併し、電線材料カンパニーを新設。一方で、住友電気工業と合弁で設立したケーブル会社ジェイ・パワーシステムズを同社に譲渡し、不採算部門の切り離しを行っている。事業のグローバル化を推進するため、同年に海外事業企画センターを新設。インドの自動車用鋳物メーカーと技術・販売提携を締結して同国での事業展開を加速している。
▶次ページでは非鉄金属業界を紹介。業界全体の動向については業界研究をチェック!
-
- 1 2