業界勢力図  家電・電機・精密機器

家電・電機 〜 テレビは不振。家電は白物、電機はインフラの新興国需要が拡大

家電・電機業界売上高ランキング&対前期比

1 日立製作所 9兆0,410億円 やや減少

2 パナソニック 7兆3,030億円 やや減少

3 ソニー 6兆8,009億円 横ばい

4 東芝 5兆8,003億円 横ばい

5 三菱電機 3兆5,671億円 横ばい

※富士通については情報処理業界を参照

(数字は2012年度の実績。有価証券報告書に基づき作成)

 

主要企業の最新動向&トピックス

1位 日立製作所

2009年より総合電機路線の見直しを開始。上場子会社5社を完全子会社化してグループ事業を再編し、電力、鉄道、情報システムなど社会インフラ関連事業をコアとする戦略に転換。海外企業へのハードディスクドライブ事業の売却、薄型テレビの自社生産からの撤退、NEC、カシオとの携帯電話端末事業の統合、2014年3月末での情報通信機器向け半導体の製造終了など不採算事業の切り離しや撤退も進めている。一方、2012年にソニー、東芝と中小型液晶ディスプレイ事業を統合して「ジャパンディスプレイ」(2013年に東証へ上場申請)を設立するなど、成長分野に経営資源を集中させている。成長戦略の柱に位置づけていた原子力事業は、福島第一原発事故の影響で国内での見通しが立たなくなり、海外へと方向転換。2012年にはイギリスで原子力発電会社ホライズン・ニュークリア・パワーを買収して攻勢に出ている。原子力の代替エネルギーとして注目される火力・水力・風力発電事業にも注力しており、2012年に富士重工業から風力発電事業を譲り受け、大型洋上風力発電システムの開発を開始。2013年からはスペインのスマートコミュニティ実証プロジェクトに参画している。三菱電機、三菱重工業との水力発電システム事業の統合も行っており、2014年には三菱重工業と電力インフラ事業を統合する新会社の設立を予定している。

 

2位 パナソニック

国内最大の総合家電メーカー。AV機器、白物家電を主力に、電池などのデバイス事業、照明、住宅設備も手掛ける。2008年に松下電器産業から現社名へ変更。2011年に三洋電機とパナソニック電工を完全子会社化して商品ブランドを「パナソニック」に一本化し、環境・エネルギー事業にも乗り出している。パネルから一貫生産するプラズマテレビは年間1兆円規模の売上を誇ってきたが、価格下落や韓国勢の台頭などで採算が悪化し、生産能力を大幅に縮小。2012年よりソニーと共同で行ってきた有機ELテレビの量産技術開発も、目標の2013年内に技術確立のめどが立たなかったことから提携解消に至っており、今後は4Kテレビに経営資源を集中させ、テレビ事業の収益改善を急ぐとしている。白物家電では海外展開を推進中で、2012年以降、東南アジアやインド、ブラジルなどの新興国に生産拠点を相次いで新設している。

 

3位 ソニー

AV機器大手。液晶テレビ、パソコン、デジカメ、携帯電話、エレクトロニクスが主力。近年はスマートフォンや電子書籍向けのコンテンツ販売にも注力している。赤字が拡大しているテレビ事業の構造改革を進めており、2011年にサムスン電子との液晶パネル合弁事業を整理して新たな戦略的提携を締結。2012年より日立製作所、東芝と「ジャパンディスプレイ」で中小型液晶ディスプレイの開発を開始している。有機ELテレビは事業化が困難であることからパナソニックとの共同開発を白紙に戻し、当面は4Kテレビでテレビ事業の黒字化を目指すとしている。一方、スウェーデンの通信機器大手エリクソンと折半出資していた携帯電話メーカー、ソニー・エリクソンを2012年に完全子会社化し、社名を「ソニーモバイルコミュニケーションズ」に変更。携帯電話事業をソニー本体のエレクトロニクス事業に取り込み、スマートフォン開発の強化を図っている。

 

4位 東芝

社会インフラや白物家電、半導体、ノートパソコンに強みを持つ総合電機メーカー。収益柱は半導体と原子力。半導体事業では、2011年に不採算の高性能半導体製造設備をソニーに譲渡。以降、高性能半導体の生産は韓国サムスン電子などに委託し、得意の記憶用半導体などに経営資源を集中させている。原発事故以降、原子力事業は海外展開を推進し、傘下の米原子力大手ウエスチングハウスからアメリカやフランスの原発へ原子炉を納入。水力発電や風力発電など再生可能エネルギー事業の強化・拡大にも乗り出している。スマートグリッド(次世代送電網)にも重点を置いており、2011年にスイスのスマートメーター(通信機能付き電機メーター)製造大手を買収し、海外での事業拡大を図っている。液晶テレビは2012年に日立製作所、ソニーと中小型ディスプレイ事業を統合、国内生産から撤退し、海外工場に集約している。

 

5位 三菱電機

重電から白物家電、人工衛星まで手掛ける総合電機メーカー。電気エネルギーの制御や供給に用いられるパワー半導体で世界トップクラスのシェアを誇る。FA機器(工場の自動化制御システム機器)、自動車電装品などの産業メカトロニクス部門が収益柱で、中国、インド、ブラジル、アメリカなどに生産・販売拠点を拡充。白物家電ではエアコン、冷蔵庫、炊飯器などの高付加価値化に力を入れ、グローバル展開を推進している。2010年より再生可能エネルギーを含む発電事業を本格展開しており、日立製作所と水力発電など電力システム事業の統合を図り、競争力を強化している。原子力事業は原発事故後も引き続き推進中で、フランスの原子力大手アレバと共同でヨルダンなど海外での新規原発受注を目指している。

 

▶次ページでは精密機器業界を紹介。業界全体の動向については業界研究をチェック!

 

    1. 1 2

  • 前のページに戻る

会員の方はこちら

教師番号(※教師番号がない方はメールアドレス)
パスワード

ログイン

  • 新規会員登録はこちら
  • 採用お祝いポイントプレゼント!
  • 掲載希望の企業様へ 是非徒も貴社の広告宣伝、求人活動にご活用ください。