業界研究 旅行・ホテル
人々の好奇心を満たし、癒しを与える「おもてなし」産業
業界の特徴
●旅行業界
パッケージツアーの企画・販売や、交通機関・宿泊先などの手配・販売を手掛ける旅行業界。パッケージツアーの企画を行う「旅行会社」と、そのツアー商品や交通機関、宿泊施設を仲介して販売する「旅行代理店」があり、旅行会社の多くは旅行代理店も兼ねている。また、鉄道会社や航空会社、バス会社などが代理店業を行っているケースもある。近年はインターネットでの旅行予約が増加しており、ネット専業の旅行会社が勢力を拡大。大手旅行各社も店舗数を削減し、ネット事業の強化で収益増を図っている。自社サイトで航空券や宿泊の予約販売を行う航空会社やホテルも増えており、異業種との競争も激化している。
旅行者のニーズの多様化を受け、近年はパッケージ旅行商品の内容にも変化が見られる。これまでは定番の観光名所を巡る物見遊山型のツアーが主流だったが、歴史、グルメ、自然など旅行者の関心や目的にテーマを絞ったツアーが増え、人気を集めている。
●ホテル業界
ホテル業界は、宿泊をはじめレストランやバーでの飲食、結婚式やイベントへの対応など、多様なサービスを提供する。洋式の客室や設備を有するものは「ホテル」、主に和室を客室とするものは「旅館」に分類される。
ホテルの営業形態は立地や単価などによってさまざまで、都市部に立地する多機能型の「シティホテル」、観光地や保養地などに建てられたレジャー客向けの「リゾートホテル」、大都市のウォーターフロントや公園のそばに立地する「アーバンリゾートホテル」、主にビジネス客を対象にした「ビジネスホテル」、空港に隣接する「エアポートホテル」などがある。近年は比較的安価に泊まれる「宿泊主体型ホテル」(宴会場などの付帯施設を廃止し、宿泊での売上が大半を占めるシティホテル)の出店が増える一方、「ラグジュアリーホテル」と呼ばれる外資系高級ホテルも相次いで開業しており、金額による顧客の細分化が進んでいる。