業界勢力図 人材
人材 ~ 国内市場の縮小で海外進出や買収による規模拡大が加速
人材業界売上高ランキング&対前期比
1 リクルートHD 7,520億円 大幅増
2 テンプHD 2,472億円 やや増加
3 パソナグループ 2,076億円 増加
4 アデコ 1,583億円 横ばい
5 マンパワーグループ 950億円 横ばい
※リクルートHDは人材関連事業、アデコ、マンパワーグループは日本法人の売上高
(数字は2012年度の実績。有価証券報告書、決算報告書に基づき作成)
主要企業の最新動向&トピックス
●1位 リクルートホールディングス
株式上場に備え、2012年10月にリクルートから現社名へ変更し、持ち株会社制に移行。人材派遣、人材紹介、採用広告、若年層の就職支援などを手がける。近年は海外展開を推進しており、中国の大学生と日本の企業をマッチングする新卒採用サービスを開始したほか、インドで人材紹介事業をスタート。2010年、2011年と、医療・ヘルスケアやIT、エンジニア、財務・法務など専門職領域に強みを持つ米国の派遣会社を相次いで買収し、同国での事業体制を整えている。この買収により、スイスのアデコ、米マンパワーグループ、蘭ランスタッド・ホールディングに次ぐ規模の人材派遣会社となった。
●2位 テンプホールディングス
テンプスタッフと名古屋地盤の総合人材サービス・ピープルスタッフ(現テンプスタッフ・ピープル)の経営統合により2008年に設立。主力の一般事務派遣のほか、金融向けなど専門事務職派遣にも強みを持ち、2010年には傘下のテンプスタッフにアウトソーシング事業本部を新設している。M&Aによる事業の拡充に積極的で、2009年に技術者派遣の日本テクシードを買収し、2010年には国内ITサービス企業の買収でITエンジニア派遣やIT関連アウトソーシング事業を強化。2013年には転職支援に強い人材サービス大手インテリジェンスホールディングスを完全子会社化している。米国の人材大手との提携関係強化により、中国・台湾・インドネシアなど海外での事業拡大にも攻勢をかけている。
●3位 パソナグループ
日本の人材派遣サービスの草分けであるパソナを株式移転して2007年に発足。近年は未内定新卒者に研修・セミナーなどを行う「人材創造大学校」の設置、新卒学生・既卒者向けの就職支援、外国人留学生向けの就職支援、再就職支援などにも意欲的に取り組み、農業の経営指導や就農支援といった第一次産業分野における人材サービスにも注力している。また、安川電機系の安川スタッフサービスや伊藤忠商事・日本航空(JAL)が資本参加するキャプランなど、大手企業の系列や専門職種に強い人材派遣会社の買収による事業の拡充を推進。海外ではアジアを中心とした新興国や北米などで人材紹介、アウトソーシング事業を拡大している。
●4位 アデコ
スイスに本社を置く世界1位の総合人材サービス会社アデコグループの日本法人。2010年に親会社のアデコが中国の人材サービス大手と合弁会社を設立したことを受け、中国向け人材サービスの本格展開を開始。アジア各国の優秀な人材を対象とした日本での就業支援事業を手がけている。転職支援、就職支援、アウトソーシングにも力を入れており、2012年にはエンジニアリング部門に特化した日本の人材派遣会社VSNの買収でIT分野の人材派遣サービスにも乗り出している。
●5位 マンパワーグループ
世界2位の総合人材サービス会社・米マンパワーグループの日本法人。2011年にマンパワー・ジャパンから社名変更。人材派遣、人材紹介、再就職支援、アウトソーシング、ITソリューションサービスなどを手がける。グローバル展開に強みを持つが、近年は大学・高校未就業卒業者への就業支援事業や、新卒採用にかかわる事務業務のアウトソーシングサービスを開始。2013年には製薬会社や研究施設における治験事務、薬事申請業務などメディカル・バイオ分野における技術者派遣・紹介予定派遣サービスを強化するなど、内需拡大にも力を入れている。
▶業界全体の動向については業界研究をチェック!