業界勢力図 生命保険・損害保険
生命保険 ~ 国内市場の縮小により、海外進出が加速
生命保険業界保険料等収入ランキング&対前期比
1 日本生命保険 5兆3,428億円 横ばい
2 明治安田生命保険 3兆6,593億円 大幅減
3 第一生命保険 3兆6,468億円 横ばい
4 住友生命保険 3兆1,447億円 大幅増
5 T&Dホールディングス 1兆0,396億円 増加
※「保険料等収入」は一般企業の売上高にあたる数値。
(数字は2012年度の実績。第一生命保険、T&Dホールディングスは有価証券報告書、他3社は決算資料に基づき作成)
主要企業の最新動向&トピックス
●1位 日本生命保険(ニッセイ)
国内民間最大、世界でも有数の規模を誇る相互会社。主力商品は医療終身保険の「生きるチカラ」。2008年にかんぽ生命保険との提携で郵便局という巨大な販売網の取り込みに成功。2012年には介護最大手のニチイ学館と提携し、介護に関する契約者向けの訪問相談サービスを開始している。海外では欧米や中国、タイなどアジアに現地法人を設け、事業を展開。2011年にインドの有力財閥リライアンスADAグループ傘下の生保会社に出資を行い、同国の保険市場に進出。2013年には英国の資産運用大手シュローダー社との合弁投資顧問会社を改編し、シンガポールに資産運用会社を設立、アジアにおける資産運用事業の拡充を行っている。2013年9月末時点のソルベンシーマージン比率は883.6%。
●2位 明治安田生命保険
団体保険の保有契約高で国内トップシェアを誇る相互会社。安田生命保険と明治生命保険の合併により2004年に発足した。主力商品は終身保険の「ライフアカウントL.A.」。三菱UFJフィナンシャルグループとみずほフィナンシャルグループで銀行窓販を展開。損保大手・東京海上日動火災保険の損保商品の販売も手がける。介護分野を死亡、年金、医療保障に次ぐ第4の柱とし、2011年に介護関連情報サイト「MY介護の広場」を開設、2012年には老人ホーム運営会社を買収し、介護施設運営事業に進出している。海外では米国、中国で事業を展開するほか、2010年にインドネシアの生保会社アブリストと提携を結び(現在は関連会社)、同国に進出。2012年にはドイツの保険大手タランクス社と共同でポーランドの大手保険2社の株式を取得し、同国への進出を果たしている。2013年9月末時点のソルベンシーマージン比率は927.4%。
●3位 第一生命保険
日本初の相互会社形式による生命保険会社として誕生したが、2010年に株式会社へと組織変更し、東証1部に上場。銀行窓販商品を扱う第一フロンティア生命をはじめ、国内18、海外1現地法人12を傘下に収める。主力商品は終身保険「順風ライフ」。アメリカンファミリー生命保険(アフラック)の第3分野商品の販売や、損害保険ジャパンとの商品の相互販売も行っている。銀行窓販ではみずほフィナンシャルグループと提携。海外展開にも積極的で、ベトナム、インド、タイ、オーストラリアに進出。2013年にはインドネシアの中堅生保パニンライフ社に出資して同国への進出を果たすなど、M&Aや提携による事業拡大を推進している。2013年9月末時点のソルベンシーマージン比率は708.5%。
●4位 住友生命保険(スミセイ)
住友グループの相互会社。主力商品は介護保障を軸とした終身保険「Wステージ」。三井住友銀行、三井生命保険と共に投資運用・金融商品の三井住友アセットマネジメント、医療保険のメディケア生命保険を設立している。MS&ADインシュアランスグループホールディングスと提携して生保・損保商品の相互販売を行っているほか、インターネットによる通信販売、他社の商品も取り扱う来店型保険ショップ「保険の森」の出店など、販売チャネルの多様化も推進。介護関連事業では、2012年に介護に関する総合情報サイト「スミセイ安心介護」を開設している。海外では、中国で全国規模の支店を展開。2012年にベトナムの保険・金融最大手バオベト ホールディングスへの資本参加を行い、2013年にはインドネシアの生保会社と出資交渉を開始するなど、アジア進出を加速している。2013年9月末時点のソルベンシーマージン比率は873.1%。
●5位 T&Dホールディングス
太陽生命保険、大同生命保険、両社の子会社だったT&Dフィナンシャル生命保険の統合により、2004年に株式会社として発足。太陽生命保険は個人向け生保、大同生命保険は企業経営者・団体向け生保、T&Dフィナンシャル生命保険は銀行窓販向けの変額年金保険と、3社で役割分担し、それぞれの強みを活かした経営を行っている。貯蓄性商品から保障性商品へのシフトを推進しており、主力商品に太陽生命保険の「保険組曲Best」がある。海外では、太陽生命保険が韓国の中堅生保などに資本参加、2011年には海外事業強化のために海外事業部を設置している。2013年9月末時点のソルベンシーマージン比率は982.1%。
このほかの国内生保大手は、保険料等収入6兆4,817億円のかんぽ生命保険(2012年度の実績。保険料等収入6年連続国内首位。民間生命保険会社に完全移行していないためランク外とした)、ソニーフィナンシャルホールディングス、富国生命グループ、三井生命、朝日生命など。損保系・独立系生保には、東京海上ホールディングス、MS&ADインシュアランスグループホールディングス、NKSJホールディングス、ライフネット生命保険(ネット系)などがある。
外資系生保には、プルデンシャル・ファイナンシャル、アクサジャパン・ホールディング、メットライフアリコ、アメリカンファミリー生命保険(アフラック)などがあり、インターネットや電話による直販も手掛けている。
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