業界研究 化学・繊維
あらゆる製品に欠かせない「素材」を生み出す
業界の特徴
●化学業界
石油や天然ガスなどの原料を化学反応させ、自動車、住宅、家電、コンピュータ、繊維など、私たちの生活に欠かすことのできない製品の原材料を生産する。
化学業界は、ナフサ(原油から作られる粗製ガソリン)や天然ガスからエチレン(3ページ業界キーワード参照)、プロピレンなどの基礎製品を生み出し、それをもとにプラスチック、合成繊維、合成ゴムなどの中間原料を製造する「石油化学」、中間原料からデジタル関連素材、医薬・農薬品材料といった付加価値の高い製品を生産する「機能性化学」の2分野に大別される。
基礎製品を生産するプラント(大型生産設備)の設立・維持に莫大なコストがかかること、原料となる原油の価格変動や取引先業界の不況に大きな影響を受けることが恒常的な課題となっている。
●繊維業界
衣料品、自動車・航空機部材、住宅用断熱材、スポーツ器具などに使われる繊維素材を開発し、各メーカーに提案・販売する。
繊維には、綿花や羊毛などの動植物を原料とする「天然繊維(綿、絹、ウールなど)」と、石油やセルロースなどの原料から生成する「化学繊維(ポリエステル、ナイロンなど)」がある。天然繊維も化学繊維も、原料の大半を輸入に依存しているため、その価格変動に業績が左右されやすい。
そのため、日本の繊維メーカー各社は早くから、衣料向け汎用繊維を中心とした従来型のビジネスモデルを見直し、素材産業用資材として需要が高い高機能繊維(3ページ業界トピックス参照)や、繊維分野で培った技術力を活かした環境・エネルギー、医薬・医療、化成品(化学工業製品)、住宅・建材、電子情報材料などの非繊維分野へと事業の多角化を進めて生き残りを図ってきた。現在では、大手化繊メーカーの事業構成は総合化学メーカーのそれと大差のないものになっている。