知っていれば安心! 内定辞退への正しい対応
内定辞退のポイントと企業側にとって最悪の内定辞退
ここまで、内定辞退についての法的な取り扱いと、それによって生じる事態について述べてきたが、ここでは、まず内定辞退で重大な事態を起こさないためのポイントを整理しよう。
●内定承諾書や誓約書に法的な効力はない。
●内定辞退には労働基準法で罰則を設けることが禁止されており、通知から2週間後には辞退が成立する。
●ただし、内定辞退によって生じた企業の現実的な損害については、損害賠償に発展する可能性がある。
●最悪の事態を招かないためにも、複数の内定をギリギリまで保持し続けない。
●保持している内定については、優先度を常にはっきりさせ、入社しないことを意思決定したら、内定は速やかに辞退をする。
●学校推薦や学校紹介の企業からの内定については、辞退について就職課やキャリアセンターに事前相談をし、学校と企業の信頼関係を損なわないように心がける。
●自分の辞退によって引き起こされる事態を想定し、例えば新たな採用ができるかどうかなど、企業側のダメージの有無も考慮しよう。採用側の気持ちを察することが大切。
以上のことに注意すれば、内定辞退はコワくない。もちろん企業側は辞退をしてほしくないので、執拗に理由を問われたり、怒りをあらわにするケースもあるだろうが、しっかりお詫びし、誠意ある態度をとるようにしよう。
採用担当者が最悪と感じる内定辞退
ここからは内定辞退について、企業の採用担当者が思う最悪のパターンを挙げていこう。こういった行為は就活生の所属する学校と企業の信頼関係や、学校自体の評価をおとしめることにもつながる。こういった個人の行為が後輩の採用に大きな影響を与える可能性も秘めているので、絶対にやめよう。
●ウソをつく
「また親の介護だって!」「両親が病気になる学生これで何人目?」「急に地元に戻らなきゃならない学生が多すぎ」……これらは内定辞退をされた新卒採用担当者の愚痴である。もちろん、採用担当者たちは、こういった就活生の言い訳をウソだと見抜いていて、それを冗談めかし、仲間うちでこういった会話をしているわけだ。採用担当者は採用のプロ。ヘタなウソはつかない方がいいだろう。「もう会うことはないだろうから、ウソをついてもいいだろう」という甘い気持ちは禁物。将来、取引先になるかもしれないし、一緒に仕事をする可能性だってある。あくまで正直に誠意をもって内定辞退を切り出そう。
●まったく連絡がとれなくなる
「そんなヤツいるの?」と思うかもしれないが、意外に多い。採用担当者は「あんな学生を採らなくてよかった。入社してたら大変だった」と、秘かに胸を撫でおろしているかもしれない。社会人としては言語道断の行為だ。人間としての品格が問われる行為とも言えるだろう。
●内定辞退した企業の悪口を言う
「●●が最低だから、あの企業を辞退したんだ」……複数内定を自慢し、仲間うちで武勇伝を披露する軽はずみな行為も、思わぬ事態を招きかねない。どの企業の採用担当者や社員でも、真っ当な人物であれば、自社はもちろん、他社の悪口を言う人間にさえ嫌悪感を抱くことが多い。面接でそんなことをすれば必ず落とされるだろう。悪口を言うという行為はそれほど良くないことなのだ。SNSの普及で個人の発言が大きくクローズアップされ、社会的に制裁される事態がここしばらく続いている。軽はずみな行為がとんでもない事態に発展する可能性もあるということを認識しておいた方がいいだろう。