業界勢力図  運輸

海運 ~ 大手3社が市場を独占。苦戦続くも、LNG輸送や海洋資源開発に活路

海運業界売上高ランキング&対前期比

1 日本郵船 1兆8,971億円 横ばい

2 商船三井 1兆5,091億円 横ばい

3 川崎汽船 1兆1,347億円 増加

(数字は2012年度の実績。有価証券報告書に基づき作成)

 

主要企業の最新動向&トピックス

1位 日本郵船

総合海運最大手。海運を柱に陸運・空運を統合した総合物流事業を世界展開し、運航船腹量・営業網ともに世界トップクラス。傘下に国際航空貨物大手の郵船ロジスティクス、国際交通貨物大手の日本貨物航空、バラ積み船に強いNSユナイテッド海運などを有し、陸運大手のヤマトホールディングスとは提携関係にある。国際的なコンテナ船共同運航組織「グランドアライアンス(GA)」、コンテナ船の新連合「G6アライアンス」に所属。LNG(液化天然ガス)船やLPG(液化石油ガス)船によるエネルギー輸送のほか、海底油田の生産などを支援する海洋資源開発分野を強化しており、2013年にはブラジル沖の海洋油田開発に参画している。一方で、世界的な船余りを背景とした運賃低迷による業績への打撃を緩和するため、老朽船の売却などでコスト削減を推進中。

 

2位 商船三井

総合海運会社。大型バラ積み船、原油タンカー、プロダクトタンカー、LNG船など世界一の運行船舶数を誇るが、現在は日本郵船同様、余っている大型バラ積み船の停船や廃船処分を進めている。傘下にバラ積み船主体の第一中央汽船などを有し、国際総合物流大手の近鉄エクスプレスとは航空貨物、海上貨物輸送、ロジスティクス(原材料調達から生産・販売に至るまでの物流業務)の3分野で業務提携を行っている。コンテナ船では共同運航組織「ザ・ニューワールドアライアンス(TNWA)」「G6アライアンス」、大型原油タンカーでは2012年に海外海運大手4社と発足した共同運航組織「ノバ・ タンカーズ」に所属。LNG事業では、2010年に石油メジャーの米エクソンモービルとLNG船の長期貸船・造船契約を、2013年にウルグアイでFSRU(浮体式LNG貯蔵再ガス化設備)の長期貸船契約を締結。同年にはブラジル沖やアフリカ沖で三井海洋開発が手がける洋上石油生産設備事業への参画で海洋資源開発市場に本格参入している。

 

3位 川崎汽船

コンテナ船を主力に、石炭・鉄鉱石などの不定期貨物船、自動車運搬船、LNGタンカー、石油タンカーなどを運航する総合海運会社。コンテナ船事業で「CKYHグリーンアライアンス」に所属。

傘下に内航フェリー主体の川崎近海汽船、ドイツの重量物専業船社SALグループなどを擁する。長期輸送契約のない大型バラ積み船の削減を進める一方、2013年には最新省エネ機能を備えた大型コンテナ船5隻を発注し、コスト競争力の強化を図っている。LNG事業では、2013年にインド最大手のLNG輸入会社、国際石油開発帝石、中部電力とLNG船の長期貸船・造船契約を締結。近年、強化中の海洋資源開発事業では、2010年にブラジルの国営石油会社と、2011年には米エネルギー大手の英国法人と支援船(洋上の石油・ガス田開発設備に資材や燃料を運搬する船)の長期契約を結んでいる。

 

▶次ページでは空運業界を紹介。業界全体の動向については業界研究をチェック! 

 


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