業界勢力図 新聞・出版
出版 ~ 書籍・雑誌の低迷が続く中、各社メディアミックスと電子書籍に注力
出版業界売上高ランキング&対前期比
1 KADOKAWA 1,616億円 やや増加
2 集英社 1,260億円 横ばい
3 講談社 1,178億円 横ばい
4 小学館 1,064億円 横ばい
5 ゼンリン(出版事業) 472億円 横ばい
(KADOKAWAとゼンリンは2012年3月期、集英社は2012年5月期、講談社は2012年11月期、小学館は2013年2月期の実績。有価証券報告書、決算資料等に基づき作成)
主要企業の最新動向&トピックス
●1位 KADOKAWA
総合出版社最大手。2013年6月に角川グループホールディングスから現社名へ変更。同年10月、子会社9社(アスキー・メディアワークス、エンターブレイン、角川学芸出版、角川書店、角川プロダクション、角川マガジンズ、中経出版、富士見書房、メディアファクトリー)と合併。メディアミックス、ライトノベルという新たな市場を開拓し、近年はクロスメディア戦略を推進。電子書籍やゲーム、コンテンツ輸出にも力を入れている。2013年に映画スタジオ・角川大映スタジオを設立。同年には新たな選書レーベル・角川EPUB選書を創刊している。
●2位 集英社
漫画を主力とする総合出版社。漫画雑誌「週刊少年ジャンプ」で連載中の『ONE PIECE』(尾田栄一郎著)をはじめ、人気漫画作品を中心としたメディアミックスを推進。2012年からは「週刊少年ジャンプ」をベースにしたスマートフォン向けアプリの開発・リリースに注力し、ジャンプコミックスの電子書籍が購入できる「ジャンプBOOKストア!」、写真をジャンプ漫画風にして楽しめる「ジャンプカメラ!!」、デジタル雑誌「ジャンプLIVE」などのサービスを次々と投入。2013年には漫画の試し読みポータルサイト「Manga Broadcast Channel」を開設している。小学館の娯楽誌部門が分離独立して発足した経緯から、近年は重複する分野において小学館と事業を統合する動きも見られる。
●3位 講談社
キングレコード、光文社、日刊現代、星海社などを傘下に収める総合出版社。ネットとのメディアミックスや電子書籍の拡販を推進しており、近年は「ViVi」「with」「VOCE」「FRaU」の4つの女性誌読者のためのポータルサイト「女性誌ネット」、漫画雑誌「週刊モーニング」の作品が読めるスマートフォン向けアプリ「週間Dモーニング」、電子書籍の情報サイト「電書info」などのサービスを開始。コンテンツ輸出にも積極的に取り組んでおり、中国や台湾で版権の売買を展開している。
●4位 小学館
児童向け雑誌や図鑑を強みとする総合出版社。近年はニンテンドーDS上で漫画や動画などを見ることができる「DS vision」での復刻名作漫画シリーズの展開や、女性誌9誌の総合ニュースサイト「Woman Insight」の運営を手がけ、電子書籍やスマートフォン向けアプリにも注力している。2013年にはシンガポールに現地法人「小学館アジア」を設立し、アジア地域の新興国を対象とした英語や多言語による出版事業を開始している。2013年現在、『オバケのQ太郎』(藤子不二雄著)の大ヒットにより「オバQビル」とも呼ばれた旧社屋の建て替え中で、2016年春に新社屋の完成を予定している。旧社屋の解体直前には、漫画家25人が1階応接ロビーの壁面や窓ガラスに落書きを行い、一般公開されて話題を呼んだ。
●5位 ゼンリン
住宅地図を唯一全国展開する地図出版最大手。紙媒体の地図や電子地図の製作・販売のほか、Google マップやYahoo!ロコなどの地図検索サービスやカーナビゲーションへの地図データの提供も行っている。2013年には観光に特化した情報を掲載した新サービスの提供を開始し、NTTドコモの旅行サポートサービス「dトラベル」などで利用されている。海外展開にも積極的で、欧米や台湾に続き、2012年にはインドの大手地図制作会社と資本・業務提携してインド市場への進出を果たしている。
このほか、宝島社、文藝春秋、新潮社(以上、文芸・実用書系)、学研ホールディングス、ベネッセホールディングス(以上、情報・教育系)、日経BP、ダイヤモンド社(以上、ビジネス系)など多数。書籍取次には、日本出版販売、トーハンなどがある。
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