業界研究 商社
世界をつなぎ、新たなビジネスを生み出す
業界の動向
●総合商社業界
2008年以降、総合商社は金融危機による海外需要の低迷や円高での輸出減少などで苦戦を強いられたが、2010年に入って大幅に回復。金属や原油などの歴史的な資源高を追い風に、2011年度も増収増益となった。しかし、その後は中国経済の減速で金属資源・エネルギー価格が大きく下落。2012年度は大手商社が軒並み減益となっている。
このように資源ビジネスは市況に左右されやすく、権益を保有する鉱山の資源も無限ではない。そのため、各社は近年、原料調達から販売までを一貫して手がけるバリューチェーンの構築、食料や機械分野での事業拡大、太陽光発電やバイオ燃料などの再生可能エネルギー(非枯渇性資源)開発、上下水道整備や淡水化プラントなどの水ビジネスの輸出といった非資源分野に力を入れ、収益の強化を図っている。
●専門商社業界
鉄鋼や半導体、化学などを扱う外需型の専門商社は、長引く欧州債務危機や歴史的な円高による輸出減、東日本大震災やタイの洪水の影響などで、2011年は苦戦続きとなった。とはいえ、国内需要が低迷する中、活路は海外にしかない。各社はさらなる外需取り込みや三国間貿易(海外の国同士の貿易を第三国が取り次ぐ貿易。この場合は中間に日本企業が入る)の拡大に注力。メーカー機能を持つ商社では、アジアを中心に生産加工拠点の増設や合弁会社の設立に走る動きも加速している。
一方、食品や医薬品などを柱とする内需型の専門商社は、少子高齢化による人口減少で市場が縮小。伸び悩みが続く中、生き残りをかけた合併・統合が活発化し、海外市場への事業拡大を図る企業も出始めている。
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