業界研究  通信・インターネット

「もっと便利に、もっと速く」を実現する生活インフラ

業界の動向

通信業界

2012年度(2013年3月末)の携帯電話の累計契約数は前年同期比2.3%増の1億3172万件と、国内の総人口を上回った。新規契約数から解約数を差し引いた純増数は前年度比3%減の753万7300件と前年には及ばなかった(電子情報技術産業協会調べ)が、携帯電話の総出荷台数に占めるスマートフォンの比率は前年度の56.6%から71.1%に拡大しており、今後も増加が続く見通しだ(MM総研調べ)。スマートフォンは従来の携帯電話に比べて1台あたりの月間平均収入が高いため、通信各社は顧客のスマートフォンへの移行を促し、収益性の向上を図っている。

 

スマートフォンの普及によるデータ通信の拡大を受け、通信各社はネット関連企業やテレビ局への出資・提携により、動画などのコンテンツの独占、先行配信といった差別化戦略も推し進めている。データ量の増大にともない、ブロードバンド並みの通信速度を可能にする新規格「LTE」の導入や、携帯電話のネットワークにかかる負荷を軽減する「データオフロード」への対応も進行中だ。収益拡大のため、外出先でパソコンをインターネット接続できるデータ通信カードやWi-Fi(無線LAN)ルーターなど、携帯電話以外の通信機器にも力を入れている。

 

ブロードバンド市場では、すでに光回線の世帯普及率が7割を超え、まもなく市場は頭打ちになると見られる。モバイルWi-Fiなどで固定回線を使用せずにインターネットを使用する利用者も増えており、今後は、いかに長期契約の顧客を増やしていくかが通信各社の課題となる。

こうした中、NTTが総務省の指導を受け、2011年度から接続料金(回線使用料)の値下げを実施した。これまで自前の光回線網を持たない事業者は、高額な接続料金を支払ってNTTから回線を借り、サービスを提供してきた。しかし、これによってNTTよりも低価格でサービスを提供することが可能になり、一部の事業者が契約数を伸ばしている。これに対し、NTTは割引キャンペーンや映像配信サービスとのセット販売などで対抗、競争が激化している。

 

インターネット業界

インターネット関連サービス市場では、ネット通販が右肩上がりで成長。SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)は新興勢も加わり、利用者の拡大が続いている。携帯・Webコンテンツでは、スマートフォンアプリによるコンテンツ配信が急増。SNS系ソーシャルゲームは、「コンプガチャ」で過剰なアイテム課金が問題になったものの、大手ゲームメーカーなども参入し、引き続き活況を呈している。

一方、ポータル・ネット検索では、収益源のネット広告がパソコンからスマートフォンやソーシャルメディアへと媒体を移しており、これまでパソコンを中心に稼いできたヤフーをはじめとする大手・中堅ポータルの成長が鈍化。ヤフーはソーシャルメディアへの対応やスマートフォンに特化したサービスの拡充を急いでいるが、それ以外のポータル各社はこれといった攻め手がなく、苦戦を強いられている。

 

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