業界勢力図 食品・飲料
清涼飲料 〜 体制変更で大手の寡占化が進行、海外進出が本格化
清涼飲料業界売上高ランキング&対前期比
1 コカ・コーラグループ 非公開
2 サントリー食品インターナショナル 9,921億円 横ばい
3 伊藤園 4,039億円 やや増加
4 アサヒグループHD(飲料事業) 3,708億円 増加
5 キリンHD(飲料事業) 3,353億円 やや増加
(数字は2012年度の実績。有価証券報告書に基づき作成)
主要企業の最新動向&トピックス
●1位 コカ・コーラグループ
米コカ・コーラ社の日本法人、日本コカ・コーラが原液を供給し、契約する国内ボトラー8社が地域ごとに製造・販売を担当。2013年に西日本地域のボトラー、コカ・コーラウエストが南九州地域のボトラー1社を買収したほか、関東地域のボトラー4社が合併してコカ・コーライーストジャパンが発足したことにより、ボトラーが8社に集約された。炭酸飲料の「コカ・コーラ」をはじめ、「ジョージア」「爽健美茶」「紅茶花伝」など日本独自のブランドを展開。ミネラルウォーター「い・ろ・は・す」は、果物のエキスが入った新バージョンも好調。2013年にはホットの炭酸飲料「カナダドライ ホットジンジャーエール」を投入し、話題を呼んだ。自販機ビジネスに強く、電力消費がピークとなる日中の冷却用電力をゼロに抑えたピークシフト型自販機や、センサーで購入者の性別を認識する高機能自販機など、自販機を通じたエコや販売促進にも力を入れている。
●2位 サントリー食品インターナショナル
サントリーホールディングスの子会社。商品開発力と販促・宣伝企画力に定評がある。主力の茶系飲料「伊右衛門」や缶コーヒー「ボス」のほか、スターバックスとの業務提携によるチルドコーヒー、カロリーゼロのコーラ飲料「ペプシネックス」、特定保健用食品(トクホ)の「黒烏龍茶」などヒット商品多数。2012年にはグループ企業であるオランジーナ・シュウェップス社の主力商品「オランジーナ」が大ヒットを記録した。海外事業は欧州、東南アジア、オセアニアを中心に展開しており、2011年には、傘下に「サントリー食品アジア」を設立。2013年には東証1部に上場し、M&A(合併・買収)による海外事業の強化体制を整えている。
●3位 伊藤園
国内茶系飲料トップ。自社工場を持たないファブレス経営、地域密着型のルートセールス(顧客への定期巡回販売)による販売方式が特徴。主力商品「お〜いお茶」シリーズは、リニューアルや新シリーズの投入で好調を維持。野菜飲料「充実野菜」「1日分の野菜」、紅茶飲料「TEAS’TEA」のほか、傘下タリーズコーヒーのノウハウを受け継いだコーヒー飲料や、2010年に買収したチチヤス乳業との共同開発による乳酸菌飲料の販売も行い、総合飲料メーカーとしての市場拡大を図っている。海外では、アジア、米国、オーストラリアで事業を展開。2012年にはシンガポールに合弁会社、中国に新たな現地法人を設立し、アジアでの事業展開を強化している。
●4位 アサヒグループホールディングス
2008年にアサヒ飲料を完全子会社化し、2011年にアサヒビールから社名変更。傘下のアサヒ飲料、カルピス(2012年に味の素から買収)、エルビーで清涼飲料事業を展開している。主力商品は炭酸飲料のロングセラーブランド「三ツ矢サイダー」、果汁飲料「バヤリースオレンジ」、缶コーヒー「WONDA」、茶系飲料「十六茶」など。近年は買収や提携による事業拡大に力を入れており、国内では2007年に野菜飲料のカゴメと提携、2010年に「六甲のおいしい水」の製造・販売権をハウス食品から取得した。海外では、2009年よりオーストラリアの飲料メーカー3社、2011年にマレーシア飲料大手を相次いで買収。2013年にはインドネシアに合弁会社を設立し、現地のペプシコグループのボトラーを子会社化している。
●5位 キリンホールディングス
2007年に麒麟麦酒から社名変更し、飲料事業を担当するキリンビバレッジを完全子会社化。2013年1月に国内綜合飲料事業を担う新会社「キリン」を設立。茶系飲料「生茶」「午後の紅茶」、缶コーヒー「ファイア」、世界各国の家庭料理や飲料をもとにした「世界のKitchenから」などのブランドを展開。米トロピカーナプロダクツ社との合弁会社キリン・トロピカーナ、子会社・小岩井乳業のブランド商品も手がける。2012年に発売したトクホ史上初のコーラ系飲料「メッツコーラ」は爆発的なヒットを記録。2013年には大人向け炭酸飲料「キリンの泡」のホット商品を投入している。海外ではオセアニア、東南アジア、中国を中心に事業展開し、2010年にシンガポール、マレーシアの飲料最大手を買収、2011年には中国の食品・飲料メーカーと合弁会社を設立している。
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