知らないと将来に影響する!? 新卒採用の雇用形態
雇用形態による待遇の差は?
ここでは、前ページに記した4つの雇用形態について、その待遇の差を知ろう。企業によって幾分差もあるので、ここでは「一般的に」ということと、運用の実態はともあれ、「法律的には」ということを前提にご紹介しよう。契約社員の保健等については条件についての詳細な規定があるのが、ここではざっくりと記す。
●正社員
労働契約期間…なし(定年まで)
健康保険…社会保険あり
厚生年金…あり
労災保険…あり
雇用保険…あり
定期昇給…あり
ボーナス…あり
●派遣労働者
労働契約期間…派遣会社との契約によって異なる
健康保険…あり
厚生年金…あり
労災保険…あり
雇用保険…あり
定期昇給…派遣会社との契約によって異なる
ボーナス…派遣会社との契約によって異なる
●契約社員
労働契約期間…あり(1年未満が主流)
健康保険…条件付きであり
厚生年金…条件付きであり
労災保険…あり
雇用保険…条件付きであり
定期昇給…基本なし(契約による固給)
ボーナス…基本なし(契約による固給)
●パートタイム労働者
労働契約期間…あり
健康保険…条件付きであり
厚生年金…条件付きであり
雇用保険…条件付きであり
定期昇給…基本なし(契約による固給)
ボーナス…基本なし(契約による固給)
このように仔細に比較してみると、正社員との待遇面での差が明らかになる。もちろん、契約社員やパートタイム労働者には勤務地が変わらないなどのメリットもあるが、新卒での就職や、将来の選択肢を広くもって人生設計を行うには、あまりふさわしい雇用形態ではないことがわかる。
さらに、厚生労働省の賃金統計やその他のデータをもとに生涯収入の格差を試算すると、80歳の段階では、その差が1億6034万円に及ぶ、との試算も存在する。また、冒頭の記事の抜粋でも示した通り、初めての就職が非正規で、その後、正社員に転職できた割合は4分の1という狭き門である。
現在の日本では、新卒時の就職で正社員以外を選択するのには、自らのキャリア的にも経済的にもメリットがない上、その後、再チャレンジや新たにチャンスをつかむなど、リカバーができにくい環境を認識しておこう。
今、報道を賑わせている国家戦略特区についてもここで触れておこう。地域を限って大胆な規制緩和などを行い、企業にとって「不便」な規制を緩め、儲けやすい環境を整えることが狙いのこの施策は、雇用についても規制緩和を進める方向にある。2013年11月時点で、まだまだ有識者レベルで議論中だが、実施段階になると新たな雇用形態も生まれそうな気配だ。このコンテンツ同様、国家戦略特区における雇用形態についても、新卒で雇われる側としては、ネーミング等が魅力的に聞こえても、条件や待遇などを仔細に比較検討する必要があるだろう。