データと感覚値から読み取る「2015年卒の就活動向」
アベノミクス効果で企業業績が回復し、景気は上向き。2013年冬のボーナスや2014年度の定期昇給の行方などが現在報道を賑わせている。就活生がいちばん気になる就職の動向も同様に上昇傾向にあるのだろうか? ここでは、官民双方が提供しているマクロデータをベースに就活に関わる方々の「感覚値」を加味して、いよいよ始まる2015年卒学生の就活について読み解いていこう。
文科省、厚労省発表の2014年内定率について
まずは、2013年11月15日発表の文部科学省および厚生労働省のデータ「平成25年度大学等卒業予定者の就職内定状況調査(10月1日現在)」を見て、2014年卒の先輩たちの就職状況を確認してみよう。
データによると、大学等(大学、短期大学、高等専門学校)の就職内定率は、それぞれ大学(学部)が64.3%(昨年同期比1.2ポイント増)、短期大学は23.6%(同3.8ポイント減)、全体では61.8%(同0.5ポイント増)となっている。これに専修学校(専門課程)を含めると全体の数値は59.9%(同0.6ポイント増)となる。全体としてはこの時期の内定率としてはまずまずのところ。この時期の60%越えの数値は過去のデータ推移から、4月1日には内定率は90〜95%強あたりに落ち着くことが推定される。短大は例年、この時期の内定率が低いが、4月1日時点では90%を越えてくるのが通常。ただし、昨年は短大の内定率がやや下がっており、最終は90%前後あたりになると予測される。
もう少し大学に限って詳しくデータを見てみよう。※()は前年同期の増減率
●男子
国公立大学 67.4% ( 1.0 )
私立大学 63.6% ( 1.6 )
高等専門学校 95.7% ( ▲ 0.5 )
合計 61.8% ( 0.5 )
●女子
国公立大学 68.2% ( ▲ 1.6 )
私立大学 62.6% ( 1.6 )
短期大学 23.6% ( ▲ 3.8 )
合計 55.6% ( ▲ 0.2 )
●文系
国公立大学 67.7% ( ▲ 0.7 )
私立大学 61.8% ( 1.0 )
●理系
国公立大学 68.0% ( 1.0 )
私立大学 71.8% ( 5.2 )
●地域別
北海道・東北 63.2% ( 0.2 )
関東 71.5% ( 4.3 )
中部 54.8% ( ▲ 5.3 )
近畿 68.0% ( 1.6 )
中国・四国 51.3% ( 1.8 )
九州 51.7% ( ▲ 3.2 )
数値は全体的に見ると微増・微減が主流で、おおむね就活生にとっては歓迎すべきデータだが、理系の私立の伸び率と短大の減少率が目に付く。また地域別でも中部と九州の減少率は要チェック。どこで就職をすべきかを考える参考としてほしい。
景況感がこのまま変わらず推移すると、2015年卒についても、同様の微増が望めるのだが、2014卒の就活現場での感覚値はこの統計とやや異なるものとなっている。それについては次ページで詳述しよう。
調査の詳細を知りたい人は、下記のページで。
「平成25年度大学等卒業予定者の就職内定状況調査(10月1日現在)」(文部科学省)