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第7回 「うかつな一言」がキミの人生を狂わせる?
──「ネットはパブリックな場」という認識を
今回の事件を元にポイントを整理してみよう。
● ネットはメディアであり、そこで発言するということは、物事を「公」にすることであるということ。
インターネットは世界につながっている。本人は自分のつぶやきを見ている身近な人に発信をしているつもりだろうが、その発言自体が世界に発信されている「メディア」なのだ。自分の携帯に文字を打ち込む行為は「世界へ情報を発信している」という認識は彼女にはなさそうだ。この女子大生だけではない。多くの学生がおそらくは安易にネットメディアを介して「情報発信」を行っている。本人は、単純に身近な友人を想定して自分に関係のある「ニュース」を発信しているつもりなのだろうが、パブリックな場であるネットを介してそれが行われたばかりに、「事件」となることが多い。
公の場での発言で、政治家は辞任に追い込まれることがある。政治家や芸能人は有名だから、と誰もが考えるが、ネットが発達した今、同様なことは一般人にも起こりうる。つまり情報発信には「責任」がついてまわるのだ。
「自分の日記は仲間内限定で基本未公開だから……」と安心してはいけない。第三者(キミの友達?)を通じて、キミの日記の内容が漏れることもあるのだから。
● その情報が正しいかどうか、まったく検証がされないまま、オモシロおかしく配信されていること。
仕事でも何でも、男女が2人きりで会い、食事をする場面はつねに存在する。2人の関係をしっかり調査しないで軽はずみな発言をしていいのだろうか? 新聞でもテレビでも雑誌でも、メディアが情報発信をする際に気をつけていることの第一が「ウラをとること」。彼らは確証のないことをただ単にオモシロおかしく書いているわけでは決してない。必ず「ウラ」をとっている。また、その情報を「事実」として発信することがどんなことを巻き起こし、自分たちにどんな影響があるのかまでを想定して、意思決定を行ってから彼らは記事掲載をしているということを忘れてはいけない。そういった意思決定に基づいて発信された記事でも、誤報であれば、関係者は処分を受けたり、責任をとらねばならないことも付け加えておこう。
● ホテルやレストランで働く者の「義務」を放棄していること。
ここはきわめて重要。いわゆる「守秘義務」や「機密保持」についてだ。社会に出ると、ある企業と取引を開始する場合、必ずと言っていいほど「機密保持契約」をあらかじめ結ぶ。取引に特段機密事項が含まれていなくても、ルールとして必ずこういった契約を締結する。おそらくは「しっかりした意識を持ってお互いに仕事をしましょう」という気持ちのあらわれなのだ。無闇に情報を漏らすことは、関わる企業にダメージを与え、ひいてはあなた自身の身にも災厄をもたらす可能性がありますよ、という警鐘でもあるのだろう。それはどの業種・業態でも一般化している。
個人のプライバシーを守るという「信頼」をベースにビジネスをしているホテルやレストランにとって、こういった情報漏洩は「致命傷」になる。彼女の行為で、この女子大生を雇っていたホテルやレストランの信頼は完全に失墜してしまった。信頼回復をするにはおそらく相当の時間がかかることだろう。1人の安易な行為が、1企業の根幹を揺るがすこともあるのだ。おそらくこの女子大生はアルバイトの契約をする際に、機密保持に関しても「誓約書」を提出しているか、機密保持が雇用の前提となっていたはずだと思うのだが……。
……このように挙げていくと、情報発信という行為を慎重に行わなければならないことは理解できただろう。もちろん、ネットを介してアクティブに情報発信をすること自体は決して悪いことではない。ネットにはネットができる以前と比べ物にならないさまざまなチャンスや経験ができる場が用意されている。それを利用しない手はない。要は「運用ルール」を個人としてきちんとコントロールしているかどうかに尽きる。